かつて私は、母のいない子鹿のように、山の斜面を登っていた。香辛料の香りが鼻腔をくすぐった。それはスパイクナード、ミルラ、樟脳とオレンジの香り、そう、魂にしがみつくような甘く芳香なたくさんの植物だった。彼らは、欲望に満ちた人間の胸のように私を抱いてくれた。しかしその愛は、私を窒息させるかのように脅かしてもいた。香りの風が、東へと吹いていた。
見よ。途中で私は、恋人の瞳のように深く、王子の楽園の鳥のように青い妖精の池を見た。それは黒っぽい石に囲まれていた。突然その中心から泡が立ち上り、驚くべきことに、そこからひとりの悪霊が現れた。
その哀れな悪霊は私に言った。「旅人よ、山の斜面を登る者よ。私に手を貸してくれ!確かにお前は純粋な水の池を見、芳香の空気を吸っているが、この世界の秘密の真実を知らないのだ。よく聞け。この世界は炎に包まれ、腐敗と怨恨の臭いがする!この火のように腐った穴から私を救ってほしい、お願いだ!」
悪霊の訴えに驚いたと共に、私には彼が何を言っているのか理解できなかった。彼の病気に感染することを恐れて、私は言った。「私たちは異なる世界に住んでいる。私の感覚は間違っていない、私の前には楽園が本当に広がっている。香りは甘く、視覚は目のごちそうだ。お前は悪霊で、私は人間だ。どうして私がお前を救えるというのか?」
悪霊は哀れに言った。「ああ、君は正しい。君は私を救えない。私は君の無邪気な感覚を蝕むだけだ。だからお願いだ、一つだけ言うことを聞いてほしい。この世界の秘密を深く覗き込まないことでくれ。さもなくば、君の感覚も私のように苦くなってしまうだろう。」
悪霊は池の奥底に沈み、再び静けさが訪れた。私は香辛料に満ちた美しく不思議な山に戻っていた。
それははるか昔のことで、今はあれからしばらく経っている。多くの美しいものを目にしてきた中で、人生のどこかで、幕がずれ始めた。私は今、悪霊の言葉の意味を理解する。私の目は熱い炭のように燃え、鼻には腐った肉の匂いが漂っている。
